印象派の画家、ピエール=オーギュスト・ルノワールの次男がジャン・ルノワール監督で、父の親友モーパッサンの「野あそび」が原作と聞いたら、それだけで観る価値十分な映画「ピクニック」。
こんな映画が近所で観られるってやっぱりしあわせだわ〜。
題材が「ピクニック」ながら悪天候が続いたり、戦争で完成が遅れたりと数奇な運命を辿りながらも、ルノワール監督の片腕だった人たちの努力で10年後に完成した映画が今、デジタルリマスター盤として蘇りました。
最初のシーンに登場する、川で魚釣りをする少年がジャン・ルノワール監督の息子だったり、監督自身もレストランの亭主として一瞬登場したりと、ところどころに遊び心があふれているのも見所の一つ。
家族で郊外にピクニックに来た娘の、郊外の美味しい空気や、美しい緑に囲まれて開放的になった笑顔が地元の男性を魅了します。そりゃあそうでしょう、この笑顔だもの。
オーギュスト・ルノワールの絵を彷彿させる、光や水がきらきらとした映像に一瞬にして心を奪われます。モノクロ映画のはずなのに、まるで色彩を持ち合わせているかのよう。
39分の短編ながら、宝物のような映画に出合えた気がしました。