世の中には真実を知らなければいけないことがあって、その最たるものが「戦争」。
優秀な民族ゆえに自分たちの足元を脅かすとして、罪のない人たちの命を奪った「ユダヤ人迫害」の中で、子供たちだけで山を越え、スイスに逃げた実話をもとにしたのが「少女ファニーと運命の旅」。
ユダヤ人の子供たちを保護する市民団体、ドイツ軍に密告する神父や幼子の母、危険を承知で自分たちをかくまうイタリア人の農夫、まわりの大人たちに翻弄されながらスイスへと逃げる間にどんどん成長していく子供たち。
その姿のかわいらしさと言ったら!
小さい子たらが懸命に走って疲れてもサッカーをしながら走りきってしまう、どんな過酷な状況下でも乗り越えていく賢さとくじけない意志の強さはやはりユダヤ人の子供ならではという気がしました。
子供たちをスイスへ連れて行く役割の少年が子供たちを置いて汽車から逃げ出し、拘束されながらファニーに託した手紙は白紙と、最初は少年の意図することが理解できずにいた。ずっと子供たちは裏切られたと思っていたけど、とっておきのラストに答えが待っていました。
ああ、子供たちが裏切られてなくて良かった!
時を同じくして今読んでいるのが、先日亡くなったフランスの政治家「シモーヌ・ヴェイユ」の自伝。
アウシュヴィッツのビルケナウ収容所に強制送還されながらガス室送還を姉ともども免れて、フランスで愛される政治家の1人になった女性です。
ファニーと子供たちの話も実話、シモーヌ・ヴェイユの話も目を背けてはいけない、大切な真実。
8月だからでしょうか、いつも以上に色々と考える月になりました。