今夜はまだ興奮が収まらなくて眠れない。というのも、昼間の「堀木えり子さんのトークショー、「現代建築における和紙の魅力。~無限の可能性に挑む~」 にあまりにも感激したから。
六本木ヒルズのアーテリジェントスクールのセミナーは、人選がなかなか良くて時々参加する。元伊勢丹のバイヤーだった藤巻さん(ちなみに彼の大ファン!)、安藤忠雄氏、そして、今日の堀木えり子さん。
彼女は和紙デザイナーとして、ミッドタウンやペニンシュラホテルの内装だけじゃなく、アメリカのカーネギーホールでのヨーヨー・マーの舞台も手がけた。それも彼からのオファーで!
父の仕事の関係でいつも家に和紙がたくさん転がっていたし、韓国に行っても韓紙をチェックしたり、第一イタリアにマーブルペーパーの勉強に行ったくらい、私にとって紙は惹かれる素材。
イタリアで紙を勉強すると言った時、たくさんの人に励まされた後に「でも・・・、紙でしょ?」と言われたことを覚えている。みんな心配して言ってくれたとはわかっているけれど、実はその言葉に傷ついていた。ま、中途半葉では終われない、ライフワークとして一生続けていこう!とも思ったのだけれど。
でも、彼女の作品は紛れもなく素晴らしい芸術品であり、紙という素材だから見劣りするなんて決してない。そう、可能性のないものなんてひとつも無くて、必ず可能性を秘めているもの。
トークショーを聞いてすぐに衝撃が走った。
これほど聡明で、研ぎ澄まされた感性を持った日本の女性がいたなんて!それもちまちました枠に納まりきらなくて、スケールが大きい作品はもちろん、彼女そのものにも魅了された。
小さい頃から父にいつも言われていた言葉の一つに「ちまちましてはいけない」というのがあり、彼女のトークショーで何度も聞いた。そう、目先のシアワセや自分の幸せだけを追及する仕事はいけない。社会に貢献して、文化に貢献して、人が幸せになって初めて自分も幸せになれる、まさに私の願っていること。
和紙作りは北陸の冷たい水の中に手を突っ込み、体温との寒暖差が激しいことから、身体から湯気が出るほどだそう。
その中で作業している職人さんの姿を初めて見た時に、彼女は彼らを神々しいと感じたそうで、とてもよく分かる。信じた物を貫くしかない、そしてそんな閉鎖的な世界でもくもくと20年間一緒に作ってきて、なおかつ革新的な技術をどんどん取り入れて、インテリアに耐えられる和紙を作り上げてきた。和紙を芸術やインテリアに融合するレベルにまで持って来た彼女は、間違いなく、世界的に評価される日本人の一人になるはず。
そんな彼女の話を聞いていたら、涙が溢れてきた。あまりにも美しい物を見た時に、言葉より涙が出てしまうことが何度かあったけど、それも2、3度しかない。
オルセー美術館のAlexander Cabanelの作品、
「Naissance de Venus(ヴィーナス誕生」(この絵が世界で一番好き♪)、ロダン美術館のロダンの愛人だったカミーユ・クローデルの作品、ダリ美術館のダリの世界、安藤忠雄の北海道・トマムの「水の教会」、それに匹敵するくらいなんて少し大げさかもしれないけど、他にはない、唯一無二の彼女の存在は素晴らしい。
そして男前な彼女は少し早めのクリスマスプレゼントとして、12/2までやっている横浜総合のそごう美術館での「堀木えり子の世界展」のチケットをセミナー参加者にプレゼントしてくれた。
明日は約束がキャンセルになったので、いいチャンス!これは絶対見に行かなくては!